Good&Old Wings From My Album
発行所:AGC
発行人:赤塚薫
解説:松崎豊一
定価3,800円 (税別):[税込み価格 4,104円] 127頁・2012年8月30日発行
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文句なしに第一級の史料であると断言できる貴重な出版物です
一眼レフの登場によって大きく前進したヒコーキ写真の数々
【赤塚薫氏の前書きより】
先に出版した「私のアルバムから(上)」は、1949年から1960年にかけての国内の米軍基地で撮影された写真を掲載したが、この時代はカメラが数軒に 一台有るかどうかで、写真そのものが少なく、特に地上が写し込まれた写真は地元の郷土史家の資料としても貴重な記録集となった。
さて、こうした時代を過ごした飛行機好きの少年たちにとって、写真を撮ろうにもカメラは高級すぎて手にすることができなかったが、滑走路の側に身を置く だけで充分すぎるほど当時の飛行場は魅力に満ち溢れていた。早朝から日没まで、目の前に滑り込む最新鋭戦闘機の爆音を体で受け、離着陸する巨大なレシプロ 輸送機が巻き起こす熱風と排気の香りに酔いしれる。年に一度、基地の中が公開される三軍記念日では、ふだんは遠目でしか見ることができなかった戦闘機の ジュラルミンの肌にそっと触れたり、アメリカのコーラの香りと甘さに感動する。このように五感のすべてを心地良くさせてくれたのだから、飛行場で体験した この「愉しさ」は、何十年経とうともけっして忘れることができないのである。古くからの飛行機フアンに共通する「良き思い出」と言えるのではないだろう か。
上巻の掲載写真を1960年までとし、下巻の始まりを同じく60年からと重ねたのは理由がある。それは、「飛行機写真」をとり巻く環境が、この年から大 きく変わったからだ。それまで一般の写真家が使えるカメラと言えば、単レンズ固定の35ミリ、6X6判2眼レフ、セミ判(6X4.5)蛇腹式カメラが主であったが、60年以降、歴史的高度経済成長期を迎え、前述の少年たちが青年期を迎えるころには、一眼レフと交換レンズが何とか購入できるようになり、写真 表現の幅が大きく広がった。各地の飛行機写真同好会の活動も活発化し、撮影技法や写真現像技術も飛躍的に向上する。マニアの問でいまだに語り継がれる作品 が続々と出てきたのがこの頃からなのである。よく使われていたカメラは、ミノルタ SRまたはアサヒペンタックスで、フイルムはネオパンF(ISO32) を現像処理で2倍に増感し、露出1/500秒、f5.6、Y2フィルタ。これが60年代初期の飛行機マニアが、晴天時に撮影する際の平均的データであっ た。
なお、上巻で、下巻の撮影年は60年から66年とご案内したが、70年に横田へ一度だけ飛来したF-106をどうしても本書に載せたかったので、内容を 「1960〜1970」と改めた。1960年から70年にかけての10年間は、軍用機、民間機とも新旧あらゆる航空機が日本上空を飛び交っており、日本 のヒコーキフアンにとって、まさに「至福の10年」と言って過言ではないだろう。その時代を自ら飛行場へ足繁く通い、綿密な取材をされた航空ジャーナリ ストの松崎豊一氏に、上巻に続いて作品解説をお願いした。氏の読み応えのある解説と共に一頁ずつじっくりとご鑑賞ください。
【企画】赤塚薫・佐藤雅三
【写真撮影】渡辺俊彦・吉永秀典・村越賢司・杉浦博・田中常雄・赤塚薫・田村快男・東野良彦・下郷松郎・鈴木宣勝・熊木勝美・松崎豊一・岩河敏・高橋泰彦・能村実・安西直哉・一条厚・富田肇・中井八郎・箕浦克広・岡島義一・小宮宏・高桑飛良雄・高桑良二・多賀谷敏雄・富川則之・中川安正・中野勇・成澤一憲・横尾哲雄・吉田眞二
中里重雄・大野芳希・戸田保紀・門上俊夫・中野隆弘・福井正夫・田中達雄・真鍋和久・北田尚夫・森正・小曾土品・近藤清光・高田和彦・榎本行男・賀張弘道・江間久・大沢郁夫・小松賢一・中島良介・
【写真解説】松崎豊一
【カバーデザイン】大澤郁夫
【編集】赤塚薫
【シリーズ】
私のアルバムから(上):1949-1960
私のアルバムから(下):1960-1970
私のアルバムから(伊丹・甲南)
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