【作図・解説】松葉稔 酣燈社:税込み価格 2,700円
スケール:1/48
2初期の米軍ジェット戦闘機(3)
【収録機種】
ベルP-59エアラコメット
リパブリックF-84Fサンダーストリーク
ノースアメリカンF-86F-30セイバー
ノースアメリカンF-86Dセイバー・ドッグ
ノースアメリカンF-100Dスーパーセイバー
ノースロップF-89スコーピオン
グラマンF9F-5パンサー
グラマンF-11F-1タイガー
マクドネルF3H-2デモン
チャンスボートF7Uカットラス
チャンスボートF-8Cクルセイダー
【精密図面を読むベストセレクション復刊によせて:編集部より】
「精密図面を読む」シリーズは1994年から2006年までの間に全10巻を刊行しました。多くの読者からご好評をいただきましたが、長い期間絶版状態でした。
この度、機種を選択してベストコレクションという形で復刊することになりました。
本シリーズは第1巻「第二次大戦戦闘機」、第2巻「第2次世界大戦機」、第3巻「初期の米軍ジェット戦闘機」、第4巻「爆撃機」で全4巻を順次刊行していきます。
尚、著者の松葉稔氏は2008年1月に他界されました。ご冥福をお祈りいたします。
本シリーズの出版にあたり、ご長男の松葉雅一氏の快諾を頂いたことに感謝いたします。
【精密図面を読む第1巻に寄せた松葉稔氏の前書きより:20余年の集大成】
早いもので筆者が「航空情報」に精密図面を初めて掲載させて頂いたのが1972年1月。あれから20年以上の年月が流れていった。今回、今までの発表図面の中から第2次世界大戦に活躍した戦闘機を選んで図面集として発行させて頂くことになった。
この図面集は、これ1冊でそれぞれの機体についてのプロフィールや開発のドラマを主体にした解説も付けてある。
それぞれの機体を作図していると、設計者の考えや、会社の伝統、用兵者の要求、工業技術の環境、さらには国の政治、文化など、いろいろな要素が交錯して機体の外形や構造に反映されているのが感じられて興味が尽きない。
用兵側の要求は、往々にして矛盾と無理が同居したものが多いが、結果的にはこの無理難題から天才設計者が生まれるのである。
図面については、外形だけでなく、構造との関連も分かるように表現した。また信頼できる数値データを基に基本形状を作図し、細部は写真を参考にした。作図した時点では不明であった点や誤りも修正を加えて、可能な限り正確を期した。作図のために収集したデータも併せてご覧頂ければ幸いである。
データの数値は、資料により微妙に差異があることが多く、判断に迷うが、作図により検証した結果、正しいと思われる数値を表にまとめて編集した。
【松葉稔氏による「スケールあれこれ」と題した文から】
図面を描くとき、まず決めなければならないのが縮尺比である。尺度とも言うが、英語ではSCALEである。要するに、実機の何分の1に縮めて描くかである。
対象となる機体の大きさにもよるが、構造を含めた精密図面の場合は、基本的に1/20で原図を描くことにしている。全体の形状的特性をつかむには1/40が最も適しているが、細部を表現するには1/20以下では難しい。
川崎の設計部で作成された装備配置図は1/5で描かれていたが、細かい寸法データがない場合には、あまり大きい図面ではかえって全体の感覚がつかみにくく、適当ではない。
トレースも同じ1/20か1/30で描く。実際に「航空情報」に印刷されのは1/32か1/48なので、仕上がりを考えて縮尺比を選ぶ。墨入れには、細線や点線は0.1mm、実線は0.18mmまたは0.2mmロットリングを使用している。組み合わせにより表現が変化し、作図者の個性が現れるようだ。
さて、航空雑誌に発表される図面にはいろいろな縮尺が使用されているが、昔は、具体的にはプラモデルが出現するまでは、1/50が一般的であった。これは日本の寸法基準ではメートル法が採用されていたためであり、割り切りの良い縮尺比として1/10、1/20、1/100などが使用されていた。
ソリッドモデルは当然ながら1/25、1/50がスタンダードで、現在でもこれが厳格に守られている。
プラモデルが出現すると1/48、1/72、1/144といった見慣れない半端な縮尺比が現れた。欧米生まれのプラモデルは、フィート・インチ法を基準にしていたのである。どうしてこんな中途半端な縮尺比が使われるのか不思議で、1フィートが1/4インチに相当する縮尺が1/48になり、3/8インチ相当が1/32になることを理解するのにかなりの時間を要した。
いまや縮尺比をプラモデルを対象に、国際的にも1/48がスタンダードになってしまった。ソリッドモデルファンには申し訳ないが、この図面集も海外のファンを考慮して1/48に統一させて頂いたので、ご了解願いたい。
スケールの換算は簡単です。1/48スケールから下記のスケールに換算する場合には次のようになります。
(例)1/48を1/20に換算する場合:48÷20=2.4 → 2.4倍
1/20にする場合 |
2.4倍 |
240%拡大 |
1/32にする場合 |
1.5倍 |
150%拡大 |
1/50にする場合 |
0.96倍 |
96%拡小 |
1/72にする場合 |
0.667倍 |
66.7%拡小 |
1/100にする場合 |
0.48倍 |
48%拡小 |
この図面集によって、あらためて一機一機を偲ぶことができます。
オイルと燃料の匂いまでもが詰まっているような保存版の一冊。
|