航空会社の要望を受け、専門学校卒業生も大型旅客機の整備知識を獲得で きるかどうかを模索するため調査・研究を国土交通省が始めたとのニュース を航空新聞社(電子版)の記事で知った。
従来、航空業界において機体整備は自社で行うものが主流で希に他の航空 会社へ整備を委託することがあった。しかし近年、世界的に激化する価格競 争に対応するため、また規制緩和も影響し航空会社の整備体制は非常に多様 化しており、国内の子会社や海外の下請会社にも機体整備を委託するように なった。しかし、こうした動きは各航空会社における熟練整備士の不足や整 備品質の低下も同時に招いた。すでに欧米ではこうした行き過ぎた多様化に よる整備品質の低下が業界でも問題になっている。
今後さらに経営合理化が進むと一番経費がかかる整備分野を様々な方法を 用いて各経営陣は削減するだろう。一部にはこのような動きはすでに始まっ ている。こうした状況を踏まえると航空会社や専門学校の方から国土交通省 へ新しい人材育成の可能性を調査・研究する要望を訴えた事は評価できる。
国土交通省がどのような結論を出すか非常に興味深いが、日本でも特定業 界だけで無く幅広い業種において学校と企業がお互いに協力しあい、卒業後 直ぐにでも活力になるような人材育成をする事が企業や学校、そして学生に も強みになる。保守的な航空業界でこのような試みが実かどうか成り行きが 非常に楽しみだ。