アメリカでは各企業の第3四半期の業績が発表される時期に入った。国内の景気後退 と重なり、テロ発生後、初の業績発表は多くの企業で多額の損失を計上した。特にアメリカ航空業界の業績はシアトルに本社を置く全米10位のアラスカ航空、日本でもその経営方針が話題になったサウスウエスト航空を除き、俗に言うアメリカの航空大手は赤字。各社テロによる旅客減と安全対策が減収の理由と主張する。確かに今回のテロが我々の生活や経済に与えた影響は多大だ。しかし、世界の航空会社の中には体力以上の事業拡大や本質を外れた経営を行っていたところも多くありテロ以前から財 務悪化が目立っていた。多くの航空関係者が数年前から指摘していたハイジャック防止対策の向上や爆弾に対応した貨物コンテナの導入などは財務難を理由に力を注ぐことを怠った経緯があり、安全運航を支える機体整備の経費まで削る会社もこの業界にはある。テロリストは政治の分野と一緒に航空業界にも過去に払わなかった対価が後に膨大な額になって跳ね返るという事実を残した。予期せぬ重大な危機に対応できるよう、現場に携わる人々の意見を尊重し早期に問題点を解決しながら健全な会社運営をする事が経営陣には求められている。