航空図のはなし(改訂版)
成山堂書店:1,728円(税込み)
著者:太田弘・紺谷均:交通ブックス306
改訂版では、電子化の動向など最新情報を追補しました。
最新の航空機は遙か1万数千キロの彼方の滑走路の端をめがけて、寸分の狂いもなく着陸できる能力を有しています。その正確な飛行を支えるのが「航空図」です。
今、「航空図」は紙から電子データへと大きく変化を遂げつつあります。
本書はこの「航空図」の機能と本質を歴史的な視点から分かりやすく解説します。
【はじめに】
空を飛ぶ「地図」って何だろう?・作家サンテクジュペリと空の地図・一万メートルからの地球の絶景・空の地図=「航空図」はパイロットの専有物か?
【第一章】空のナビゲーションと地図
航法(ナビゲーション)とは何だろう?・空を飛ぶための「航空図」の要件・主題図としての「航空図」の要件・ランベルト正角円錐図法(二標準経緯)・航空情報を集約し表現する航空図・ナビゲーションマップのシークエンス(区間利用)・ヒューマンファクターと航空図
【第二章】航空図の歴史(アメリカを中心に)
世界の航空図(バルーニストから飛行士へ)・航空機の登場と航空用の地図の誕生・より安全な飛行を求めた計器飛行用の「航空図」・戦時中のアメリカの航空図・戦後のアメリカの航空図・現代のアメリカの航空図・現代のカナダの航空図
【第三章】ジェプセンチャート(Jeppesen Chart)
アメリカの民間会社が握る世界の航空図と航空情報・ジェプセン機長と航空図(一読の価値のある興味深いエピソードが綴られています)・現代の「ジェプセン・サンダーソン社」(Jeppesen & Sanderson)
【第四章】現代の国際民間航空図
ICAO航空図の誕生・戦後の国際民間航空図・ICAOの成立とICAO航空図の誕生・世界標準としてのICAO航空図・ICAO航空図類(WAC:100万分の1国際航空図・WAC以外のICAO航空図類)・ICAO航空図の種類とその歴史的変遷・ICAO航空図の黎明期・ICAO航空図の大躍進機・第二世代のICAO航空図・第三世代のICAO航空図・GPSの登場による航空図の変容・2005年のモントリオール
【第五章】我が国のICAO航空図
日本のWACルートチャート・国際民間航空機帰還(ICAO)と航空図・航空路図と国内航空図・航空路
図(縮尺100万分の一)・航空図を作る・我が国の航空図作成の伝統ある政府機関(海上保安庁海洋情報部)・AIPと航空図の編集、作成・民間で作る航空図(航空会社が作成する航空図)
【第六章】帝国海軍の航空図
戦前、戦時中の航空図・第一次日本海軍航空図・第二次日本海軍航空図・陸、空軍用の航空図
【第七章】空のナビゲーション教室:空中航法(ナビゲーション)と航空図
航空図に用いられる地図の図法・極地方の航法(グリッドナビゲーション)・航法の実際と航空図との関係(風力三角形)・有視界飛行方式(VFR:Visual Flight Rules)で飛ぶ飛行計画を立てる・実機訓練、宮崎空港から佐賀空港へ・GPSはナビゲーションにとても役立つ・計器飛行方式(IFR:Instrument Flight Rules)・飛行方式と航空図の種類
【第八章】インタビュー:パイロットにとっての地図とは?(中園幸男機長・聞き手、太田弘)
航空図、地図の世界・ジェプセンチャート・航空大学校の訓練生時代の航空図・最近の航法での地図の利用・パイロットが航空図に求めるもの・カーナビのような電子の航空図が果たして便利なのか?・非常に正確なGPSアプローチの時代がすぐそこに・やっぱり飛行機は窓側に座らないと・機内のナビゲーション表示システムサービス・飛行機は一万メートルから見る地球の俯瞰パノラマ・自分のフライトブックとチャートのメンテナンス・フライトデッキでのヒューマンファクター(人間工学的配慮)・富士山は恰好のフライトナビゲーションの目標物・地図は面白い!・訓練生時代のさまざまな経験が活きる・ETOPS時代の新しいチャート・INS-GPS航法の時代・空の地図はロマンの世界・コックピットから紙地図は消えるか?・着陸の際、名パイロットの腕をコンピューターは取って代われるか?・地図は「マップ」か「チャート」か?
【本書が書かれた背景について】「あとがき」に代えて
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